読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

【読書】ダークグリーン 佐々木淳子

 

 

 

電子書籍サイトで1~3巻無料キャンペーンがやっていたので久しぶりに読んでみた。

 

私が小学生の頃、祖父母の家にこの作品が置いてあったのでよく読んでいた。

全10巻なのだけれどもなぜか祖父母の家には7巻という絶妙なところまでしかなく、ずーっとラストがわからないままだった。

 

ちなみに今もまだ全巻読んでいない。記憶は7巻でストップしている。

 

簡単なストーリーとしては、

 

198×年12月20日、世界中の人間が同じ夢を見た。

その後も同じ世界観の夢を世界中の人々が見続ける現象が発生し、その夢は「R-ドリーム」と呼ばれるようになる。

「R-ドリーム」内で人類は「ゼル」と呼ばれる不定形の姿の敵と戦っている。「ゼル」との戦いなどで命を落とした者は、現実世界の肉体も死亡する。

現実では冴えない美大浪人生の西荻北斗は、ある日「R-ドリーム」内で謎の少年・リュオンに出会う。

「R-ドリーム」の中の人々は色々な姿を取っているものの、現実にきちんと本体がいて基本的には定期的に現実で目覚める。けれどリュオンは現実で自分が何者だったか覚えていないし、他の人々のように「R-ドリーム」から目覚めることがない。

北斗は「R-ドリーム」内でリュオンと行動を共にし、「ゼル」と戦う日々を送るが…。

 

という話。

環境汚染とか、戦争とか、そういった社会問題をガッツリ盛り込んだ硬派なSF。

 

子供の頃、この作品を読んで何が印象に残っていたかって、「R-ドリーム」の「夢っぽさ」だ。もっと言うなら「悪夢っぽさ」。

「R-ドリーム」は普通の夢とは違って、いわばもう一つの異世界のようなものだが、普通の夢と似たようなルール無用感がある。

象徴的だなーと思ったのが、かなり初期の頃のワンシーン。

主人公たちが空飛ぶ竜のようなものに乗って、上空からとある湖に向かっている。だけどいくらたっても湖にたどり着かない。やがて湖そのものが動いて逃げていることに気づいた主人公たちは、糸をくくりつけた矢を撃って、湖を縫い止める。で、湖に着くと、湖面には超巨大な矢が刺さっている。

すごく夢っぽいというか、現実のルールがグニャグニャに歪んでいる感じがする。

主人公たちの意識はハッキリしているので、「R-ドリーム」のムチャクチャな世界観に呆れたり驚いたりひどくまっとうなリアクションをする。

そのおかげで本物の夢のようなユルユル感はないのだけども、マトモな意識で悪夢の中に閉じ込められているというか、そんな雰囲気がある。(実際そういう話なんだけど)

なんつーか、この本物の夢っぽさが、子供の頃の私にはものすごく怖くて同時に魅力的だった。

 

あと、危機に陥ったときの描写が本気で悪夢っぽくて良い。

地下に閉じ込められて、とにかく上へ上へと天井を掘っていくけどずーっと同じようなフロアが続いたり。外っぽいところに出たのに天井が空っぽいだけの室内で、月のところから更に上に行けたり。水を飲もうと手ですくったら虫がウッジャーといたり。ガラスを破ったら水面が垂直になっていてそのままドボンしたり。

悪夢の怖さって、その状況から逃れるためのルールがわからない、もしくはない、ところだと思う。早く家に帰りたい、そんなときに現実ならタクシー使うとか電車に乗るとかいろいろある、だけど悪夢の中ではタクシーに乗りたいと思った瞬間道路は溶けて、電車に乗ろうと駅の改札をくぐるとなぜか学校に続いていたりする。「どうすればいいのか?」がわからない。その怖さ。

これがすごく魅力的だった。

 

本来この作品のテーマはもっと他のところにあると思うんだけど、「R-ドリーム」の夢ではない、だけど本物の普通の夢みたい、な雰囲気がすごく印象に残ってずっと覚えていた。

 

kindle版も出ているし、また買ってみようかな。